公益社団法人有機合成化学協会 SSOCJ - The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan

豊かな明日を創る有機合成

平成29年度 後期(秋季)有機合成化学講習会プログラム

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平成29年度 後期(秋季)有機合成化学講習会プログラム
テーマ

未来志向型もの創りのアプローチ

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    ※下記講演時間には質疑応答時間は含みません

第1日目[11月15日(水)] 09:45~19:20頃   →第2日目のプログラムへ

  1. 09:45~10:35
    細胞を操る合成化合物

    京都大学化学研究所教授  上杉 志成 先生

    人間の歴史の中で、生理活性小分子化合物は医薬品、農薬、基礎生物学研究のツールとして利用されてきました。今回の講演では、基礎生物学ツールの紹介に加えて、生理活性化合物の第4の利用法として、細胞治療を助ける小分子化合物を紹介します。これまでの古典的な医薬品の枠にとらわれなければ、化合物にはさまざまな可能性や未来が想像できます。新しいサイズ、新しいカタチ、新しい作用メカニズムなどを考えれば、化合物の新しい使い方や未来が垣間見えます。

  2. 10:50-11:40
    飽和炭素鎖を官能基化する光反応の開発

    山口大学大学院創成科学研究科准教授 上條 真 先生

    飽和炭素鎖の官能基化、すなわちアルキル化は、有機合成化学において基本的な変換である。置換型の官能基化に限定すれば、ハロゲン化アルキルの脱離性やエステル等に含まれるC-H結合の酸性度を利用したアルキル化法が確立されている。しかし、酸性度をもたないC(sp3)-H結合を官能基化の起点とすることは容易ではない。本講習では、我々が開発を進めている光反応を駆使した飽和炭素鎖の官能基化について紹介したい。

  3. 昼食(90分間)&展示

  4. 13:20-14:00
    天然界中に存在する微量香気成分の香料への応用

    長谷川香料(株)総合研究所 技術研究所第1部長 渡辺 広幸 先生

    天然界中には、香気成分として解明されていない微量物質が数多く存在している。著しく匂いの強い成分は、わずかな存在量でさえも香気全体に影響を及ぼすほどの重要性を有するため、それらを活用することは香料の完成度を向上させるうえで必須である。数百の香気化合物の混合物中から、どのように微量重要香気成分を見つけていくか、そしてどのように香料に応用されていくかを、実際の弊社の香料開発例をもとに有機合成化学の見地から解説する。

  5. 14:15-14:55
    リコンビナントペプチド技術の再生医療への活用

    富士フイルム(株)R&D統括本部 再生医療研究所 統括マネージャー 前川 敏彦 先生

    再生医療における三大要素として細胞、生理活性物質と足場があげられる。この中で安全性の高い足場材料を安定・大量に提供することが再生医療の産業化促進に重要であると考え、当社はヒトI型コラーゲンのアミノ酸配列を基にしたリコンビナントペプチド(RCP)を開発し、販売している。本講習では、まずRCPの基本的な特性について述べる。次に体性細胞や間葉系幹細胞の足場としてRCPからなる材料を活用した再生医療の具体的事例についてご紹介し、足場材料の有用性を説明する。

  6. ※ 15:10-15:40~休憩ブレイク~(30分間)

  7. 15:40-16:30
    チオ尿素型有機分子触媒の化学

    京都大学大学院薬学研究科教授 竹本 佳司 先生

    素反応の良し悪しはどの触媒を使用するかによって決まると言ってもよい。すなわち、触媒は医農薬品、天然有機化合物、機能性材料などのモノづくりにおける要である。本講習では、有機分子触媒の一角をになう多点水素結合を駆動力としたチオ尿素触媒の触媒設計とその応用について講義する。さらに、チオ尿素触媒のみでは進行しない反応でも、他の触媒作用を取り入れることで不斉反応に利用できることが最近の研究で明らかになってきた。それらの不斉合成への応用についても紹介する。

  8. 16:45-17:35
    触媒が拓く分子ナノカーボン科学

    名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所拠点長/教授 伊丹 健一郎 先生

    ナノメートルサイズの炭素物質(ナノカーボン)は次世代炭素材料として脚光を浴びている。我々は、ナノカーボンを分子として自在に合成・活用するという不可能を可能にすることを目指し、有機化学や触媒化学のエッセンスをもちこんだ分子ナノカーボンの研究を行ってきた。化学的手法と物理的手法の融合による分子ナノカーボンの精密合成に加え、分子配列・配向制御、構造・機能解明、デバイス・バイオ応用が一体となった異分野融合研究を展開している。本講習では「分子ナノカーボン科学」の最先端について紹介する。

17:50-19:20ころ  ※[イブニングセッション&ミキサー]

同所にて1日目の講師、2日目の講師の先生方を交えてゆっくりディスカッションができるように設定したもので、本講習会ならではの恒例企画です。(自由参加)

第2日目[11月16日(木)] 9:30~17:00  →第1日目のプログラムへ

  1. 9:30-10:20
    有機合成反応の系統的な機構解析と経路予測へ向けて:反応経路自動探索プログラムGRRMを用いたアプローチ

    北海道大学大学院理学研究院教授 前田 理 先生

    量子化学計算は化学反応の機構研究において欠かせないツールとなりつつある。実験を主戦場とする研究者が構造最適化計算を自身で行うことも、最近では珍しくない。一方、構造最適化計算には初期推定が必要なため、複雑機構の解析やゼロからの予測など、適用が困難な場合が多々存在する。本講習では、初期推定なしで反応経路の自動探索を実行できる人工力誘起反応法と、それを実装したGRRMプログラムについて紹介する。手法およびプログラムの概要と適用例を解説するとともに、最新の開発状況やプログラム利用についても紹介する。

  2. 10:35-11:15
    MEK阻害薬Trametinib (MEKINIST®) の創薬研究とケミカルバイオロジー

    日本たばこ産業(株)医薬総合研究所化学研究所第8グループリーダー 阿部 博行 先生

    TrametinibはMAPK経路のMEKを強力且つ選択的に阻害するがん分子標的薬である。我々は、内因性CDK阻害因子であるp15の発現を促す化合物をリードとし、がん細胞増殖阻害活性を指標として構造最適化することによってTrametinibを見出した。フェノタイプを指標としたために作用機序は不明であったが、ケミカルバイオロジーの手法を利用することによって、Trametinibの標的分子はMEKであることを明らかにした。本講習では、first-in-classのMEK阻害薬として国内でも昨年承認された本化合物の創薬研究と作用機序解析について紹介する。

  3. ++昼食(11:30~12:30)++

  4. 12:30-13:20
    晶析法によるナノサイズ領域の粒子生成

    早稲田大学環境保全センター所長/理工学術院教授 平沢 泉 先生

    演者らは、これまで反応晶析法による難溶性無機結晶や金属微粒子を対象に、1μm未満の単分散粒子生成のための戦略を提案してきた。一方、有機物を対象にした微粒子化は、難水溶性薬物などを対象に、研究が進展してきている。そこでは、製剤技術、物性評価、粉体分散などが検討されているが、晶析工学的見地から、サブミクロンサイズ領域の有機物結晶をビルドアップする手法は、模索段階と言える。ここでは、有機物微粒化に向けて研究を進めてきた戦略(高速核化、核化・成長・凝集抑制、渦流れ混合を用いた局所過飽和緩和)を紹介する。

  5. 13:35-14:25
    ラジカル重合を用いた線状および分岐高分子の制御合成

    京都大学化学研究所教授 山子 茂 先生

    高分子合成におけるHoly Grailであるリビングラジカル重合法(可逆的停止ラジカル重合)の最初の報告から20年強が経つ。この間、この方法は優れた高分子材料を産み出す、産業界で使える技術へと成長してきた。一方、デンドリマーに代表される多分岐高分子は、通常の線状高分子と異なる種々の特徴的な物性を持つ。しかし、構造の制御と実用性とを併せ持つ多分岐高分子合成法は無かった。 本講習では、演者らが開発した有機テルル化合物を用いるリビングラジカル重合法による、線状及び多分岐高分子の合成制御法について紹介をする。

  6. ※ 14:40-15:00~休憩ブレイク~(20分間)

  7. 15:00-15:40
    有機合成化学を基盤とした核酸医薬品の高機能化研究

    塩野義製薬(株)創薬疾患研究所バイオ医薬部門 釘宮 啓 先生

    アンチセンス核酸やsiRNAなどの核酸医薬品は、標的遺伝子に対して配列特異的に作用することから遺伝子情報に基づく迅速な分子設計が可能である。加えて、核酸医薬品の基本骨格や化学修飾が動態や安全性に及ぼす影響を把握することが可能となれば、従来の低分子医薬品より開発期間が短縮された効率の良い創薬を行うことができると期待される。本講習では、アンチセンス核酸を中心とした社内研究事例(新規修飾核酸の合成と薬理評価、PK/PD解析などの薬物動態研究、安全性研究)について紹介したい。

  8. 15:55-16:45
    分子内にリン酸基を有する化合物を医薬品にするために-プロドラッグの概念と有機化学-

    徳島大学大学院医歯薬学研究部教授 南川 典昭 先生

    核酸代謝拮抗剤は、がんやウイルス感染症治療薬開発の有効なアプローチの一つである。2013年にC型肝炎の治療薬として登場したソホスブビル(ソバルディ)もその一つであるが、今世紀最大の画期的新薬と言っても過言ではない。ソホスブビルの構造に目を向けると、糖部5’位にphosphoramidate構造を持つリン酸プロドラッグ体である。核酸代謝拮抗剤のようにリン酸化によって活性化される医薬品ではこのようなプロドラッグ化が極めて有効となる。本講習では、プロドラッグ化の概念とその戦略について紹介する。

展示コーナー

講演に関連する材料や機器(情報集積・表示関連材料・機器、分子モデルソフト、コンビ関連機器、新試薬など)の展示を行います。

ページ更新日
2016年08月10日