公益社団法人有機合成化学協会 SSOCJ - The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan

豊かな明日を創る有機合成

平成29年度 前期(春季)有機合成化学講習会プログラム

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平成29年度 前期(春季)有機合成化学講習会プログラム
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有機合成化学が創出するイノベーション―世の中に貢献する手法とは?―

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    ※質疑応答時間を含まず

第1日目[6月14日(水)] 9:45~20:20頃   →第2日目のプログラムへ

  1. 9:45~10:35
    最近の有機結晶構造解析-粉末結晶解析による医薬品原薬の結晶構造-

    東京工業大学理学院准教授  植草 秀裕 先生

    X線結晶構造解析法は結晶中の分子構造を三次元的に決定する手法として広く用いられているが、X線回折測定のために200ミクロン程度の単結晶を必要としている。近年、粉末状結晶でも容易に測定できる粉末結晶X線回折データから、結晶構造を決定する粉末未知結晶構造解析法が発展してきた。この手法により、試料が細かい粉末であったり、湿度や温度などの環境条件による結晶構造変化の研究など、単結晶構造解析が困難な場合でも構造研究が可能になった。本講習では、医薬品原薬結晶の構造研究を例に手法を紹介する。

  2. 10:50-11:40
    有機合成によるタンパク質、糖タンパク質の機能解析をめざして

    大阪大学蛋白質研究所教授  北條 裕信 先生

    近年、タンパク質上の糖鎖は、受精や細胞接着、またがん化など種々の生命現象に関与することが明らかとなってきた。その詳細を明らかにするためには、均一な糖鎖を持つタンパク質の調製が必要である。しかし、大腸菌を用いた組換え法では糖鎖が付加されないこと、また哺乳類細胞等では構造が不均一といった問題があり、高純度の糖タンパク質を得ること困難な状態にある。そこで、筆者らは化学合成的に均一な糖タンパク質を得る手法を開発してきた。本講習では、我々の糖タンパク質の基本的な合成戦略及び合成例を紹介する。

  3. **昼食**(準備時間約10分)

    ++ランチョンセミナー(12:05~12:50)++
    ※2社のレクチャーを予定(1社20分間ずつ)
    1日目のみスポンサー企業のご提供でお弁当がつきます。
    お弁当を召し上がって頂きながらショートプレゼンテーションを聞いて頂きます。

    ◇HPCシステムズ株式会社
    ◇ロックウッドリチウムジャパン株式会社

    12:50-13:20~お昼休憩~

  4. 13:20-14:00
    Dual CysLT1/CysLT2受容体拮抗薬Gemilucast(ONO-6950)のプロセス開発

    小野薬品工業(株)CMC生産本部CMC研究統括部合成研究部プロセス開発第3グループヘッド  川中 康史 先生

    当社は、これまでに気管支喘息を対象としてロイコトリエン1 型(CysLT1)受容体拮抗剤として世界に先駆けてプランルカストを上市した。CysLT1受容体拮抗剤の非奏効例に加え、重症気管支喘息に対しても高い有効性を示すと考えられるCysLT1/CysLT2受容体をデュアルで拮抗する薬剤の創製に取り組んだ結果、Gemilucast (ONO-6950) を見出した。本講習では、ONO-6950原薬の製造プロセス開発研究について紹介する。

  5. 14:15-15:05
    天然物の骨格多様化合成

    東京農工大学大学院工学研究院教授  大栗 博毅 先生

    多官能性天然物を骨格レベルで構造多様化した化合物群を自在に迅速合成できないか?本講習会では、天然物の生合成や構造と活性の相関に学び、有機合成化学を駆使して次世代創薬リードを創り出す「天然物の骨格多様化合成」を紹介する。三次元構造を形作る骨格や立体化学、活性発現に重要な官能基を合理的に改変した分子群を系統的に短段階で構築するアプローチとして、①多能性中間体の設計による多環性アルカロイド群の骨格多様化合成、②元素置換戦略による抗マラリア剤アルテミシニンの骨格改変について説明する。

  6. 15:20-15:40~ブレイク~(20分間)

  7. 15:40-16:20
    農薬における探索合成研究

    日本曹達(株)小田原研究所創薬合成研究部  柴山 耕太郎 先生

    「農薬」その認知度の高さとは裏腹に、その研究に触れる機会は稀である。しかし農薬の研究は医薬品同様、非常に難度の高い創薬研究である一方で、多様な生物を対象とする農薬ならではの面白さがある。また屋外での使用に耐えうる適度な安定性が必要なため低分子農薬が主流であると同時に、農業用資材としてのコスト低減に応えるためプロセス化学が重要であり、農薬の研究における有機合成化学の重要性は論を俟たない。本講習会では農薬の理解を深めて頂くために、農薬の一般論から具体的な研究例までをまとめて紹介したい。

  8. 16:35-17:25
    高分子デザインが拓くフォトニクスの世界

    慶應義塾大学理工学部教授  小池 康博 先生

    フォトニクスポリマーとは、「光学」と「高分子物質学」の学問領域の壁を超え、新たな光機能を持ったプラスチック材料を創造する学際分野です。これまで、光と高分子の本質まで遡ることにより、超高速プラスチック光ファイバー、ノートパソコンのディスプレイに搭載された高輝度光散乱導光ポリマー、ディスプレイの色むらを格段に向上させるゼロ複屈折ポリマーなど新たなフォトニクスポリマーが誕生してまいりました。本講習では、フォトニクスポリマーが有する新しい機能が今まで不可能であった新しいシステムを創造し得ることをお話いたします。

  9. 17:40-18:30
    ペプチドミメティックを基盤とした中分子創薬とケミカルバイオロジー

    東京医科歯科大学生体材料工学研究所教授  玉村 啓和 先生

    最近、低分子医薬品と抗体医薬等高分子の分子量的に中間となる中分子の領域に重要なドラッグライクスペースがあることが指摘され、両者の長所を保持し、短所を軽減した、この中分子の領域に位置するペプチド性化合物が注目されている。そこでペプチドが有する生理活性や機能を保持したまま、ペプチドの欠点を克服するペプチドミメティックの活用が期待されている。本講習では我々が長年行ってきたペプチド・タンパク質の一次構造~高次構造を模倣するペプチドミメティックを活用した中分子創薬とケミカルバイオロジー研究について紹介する。

18:50-20:20ころ  ※[イブニングセッション:自由参加](於;ロビー)

同所にて1日目の講師、2日目の講師の先生方を交えてゆっくりディスカッションができるように設定したもので、本講習会ならではの恒例企画です。(自由参加)

第2日目[6月15日(木)] 9:30~17:00  →第1日目のプログラムへ

  1. 9:30-10:20
    シアノ基の特性を活用した炭素-炭素結合形成法の開発

    北海道大学大学院理学研究院教授  谷野 圭持 先生

    高次構造天然物の全合成においては、立体的に混み合った位置での炭素-炭素結合形成の困難さや、連続する四級不斉炭素の立体制御が問題となることが多い。また、小員環や中員環炭素骨格の効率的構築法の開発も、解決すべき重要な課題である。本講習では、シアノ基の特性(α−シアノカルバニオンの直線的構造、シアノ基のコンパクトさ、他の官能基への多彩な変換法)を活かした反応設計について述べると共に、天然物合成への応用例を紹介する。

  2. 10:35-11:25
    蛍光ライブイメージングに基づく化学の新たな医療応用

    東京大学大学院薬学系研究科教授  浦野 泰照 先生

    分子プローブを活用したライブイメージング技術は、基礎生物学分野では既に確立された手法となっているが、近年では高機能化された分子プローブの開発による、新たな医療・創薬へのアプローチが盛んになっている。本講習では、筆者らが取り組んでいる有機小分子プローブの開発による最新の疾患イメージング技術を紹介するとともに、ライブイメージングに基づく新たなバイオマーカー探索戦略とその成果についても紹介し、医学への新たな貢献という観点からの有機化学の持つポテンシャルについて議論する。

  3. ++昼食(11:40~12:45)++
    ※2日目はランチョンセミナーの設定はありません。

  4. 12:45-13:25
    次世代 HIV-1インテグラーゼ阻害剤 ドルテグラビルの創薬研究

    塩野義製薬㈱創薬化学研究所、感染症化学部門長  川筋 孝 先生

    インテグラーゼは逆転写後の2本鎖ウイルスDNAを宿主DNAへ挿入する、HIVライフサイクルに必須な酵素である。ユニークなジケトブタン酸誘導体をヒット化合物と見極めて展開し、シンプルな構造ながら高い抗ウイルス活性を示すカルバモイルピリドン型リード化合物を見出した。その後の最適化研究の末、真に治療の質を改善できる完成度の高いインテグラーゼ阻害剤「ドルテグラビル」の創製に成功した。本講習ではその創薬研究で経験した課題やブレークスルーに繋がったアイデアを紹介したい。

  5. 13:40-14:30
    クロスカップリング反応を基軸とした機能性超分子素子の創製

    東京大学大学院総合文化研究科教授  寺尾 潤 先生

    2010年のノーベル化学賞授賞対象となったクロスカップリング反応は,今や天然物や機能性分子の合成に最も重要な手法の1つとなっている。近年注目を集めている分子機械のモチーフとなる超分子構造の構築においても不可欠な反応として広く利用されている。本講習では本反応を利用した機能性超分子化合物の合成法について関連する演者らの研究成果を交えて紹介する。

  6. 14:45-15:00~ブレイク~(15分間)

  7. 15:00-15:50
    低分子から生体高分子までを標的とした触媒反応開発

    東京大学大学院薬学系研究科教授  金井 求 先生

    有機合成化学の守備範囲は、分子量100程度の低分子有機化合物から数十万の生体高分子にまで広がっている。生体環境である水中でも安定な分子に限って、これらの有機分子を触媒開発の基質として俯瞰的に眺めると、触媒活性や選択性の獲得といった基礎化学的な面から構造修飾による分子の機能制御に至るまで、無限とも言える未開拓分野が広がっている。このフロンティアに対して触媒化学が現状でどこまでできるのか、我々の研究の最新の成果を紹介したい。

  8. 16:05-16:55
    ヨウ素の特性を活かした酸化的反応の開発

    千葉大学大学院理学研究科教授  東郷 秀雄 先生

    単体ヨウ素や有機超原子価ヨウ素(III)は非金属系酸化剤として有用な試薬である。本講習では、金属シアン化物類を用いないで、単体ヨウ素の特性を利用したアルコール、ハロゲン化アルキル、アミンのニトリルへの変換反応、芳香族ニトリルの1工程合成反応とニトリル系医薬品合成への応用などを紹介する。また、有機超原子価ヨウ素(III)を用いた、アルデヒドやケトンからオキサゾール、ピラゾール、イソキサゾール、及びテトラゾールなど芳香族複素環類の1工程合成についても紹介する。

閉会挨拶 17:00

展示コーナー

講習に関連する材料や機器(情報集積・表示関連材料・機器、分子モデルソフト、コンビ関連機器、新試薬など)の展示を行います。

ページ更新日
2017年02月17日