公益社団法人有機合成化学協会 SSOCJ - The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan

豊かな明日を創る有機合成

シニア懇話会「第18回ゆうごう会」【開催報告】

シニア懇話会「第18回ゆうごう会」【開催報告】
主催

有機合成化学協会

日時

平成28年5月25日(水)

場所

大阪駅前第一ビル地下1階、「キングオブキングス」[tel.06-6345-3100]

参加費

5,000円 ※当日会場にて参加費を申し受けます。

参加者

19名

プログラム[15:00~16:50ごろ]

話題提供:「日本、世界産業界の現状と方言御免」

(I&C・ケムテック(株)代表取締役社長 谷口 正俊 先生)  

  世界経済低迷の最近です。世界で断トツの製品を多く持っていた日本は何処に行ったのか。製造業では、安価に製造出来る国に出て行って国内製造の空洞化が定着している。一部国内に回帰する動きもあるが、電気産業を代表として負け組で復活は困難な状況にある。世界的な再編が進んでいる。M&Aと言えば聞こえは良いが、自社開発が出来ないので他社の技術を入手するとか規模で競争する考えで、ある種の逃げではないか。製造業は技術の競争、顧客満足が得られる製品の開発が基本である。

報告記

平成28年5月25日の午後3時から、大阪駅前第一ビル(キングオブキングス)で、第18回ゆうごう会が行われた。大阪では、4回目であり、19名の参加者であった。

今回は大塚化学㈱元代表取締役会長で現I&C・ケムテック(株)代表取締役社長の谷口正俊先生から、「日本、世界産業界の現状と放言御免」の演題でご講演いただいた。
司会の奥世話役代表(京都工芸繊維大学名誉教授)から、「演題名の「放言」は「方言」とも理解している。ご出身の兵庫県朝来市(天空の竹田城や生野鉱山で有名)弁を含めて、「放言」してほしい」との注文からスタートした。

近代産業の歴史から世界経済低迷の現状に亘る幅広い領域につき、膨大な資料を基に約1時間40分間、熱弁を振るわれた。聴講者全員が谷口先生の博学と見識の高いお話に圧倒された。迫力満点であり、居眠り姿は皆無であった。その中から、敢えて、「化学」に関して印象的であったお話の一例を紹介したい。

・世界で断トツの製品を多く持っていた日本は何処に行ったのか。
・製造業では、安価に製造出来る国に出て行って国内製造の空洞化が定着している。
・世界的な再編が進んでいる。「M&A」は聞こえが良いが、自社開発が出来ないので他社の技術を入手するとか規模で競争する考えで、ある種の逃げではないか。
・製造業は技術の競争、顧客満足が得られる製品の開発が基本である。
・企業は自社の事しか考えないが、日本と言う国が成り立たなくなると自分の国が無くなる事である。
・現地生産化の方が安価で、市場ニーズが分かり、運送費も安くなる。為替の変動の心配も無いという事で海外生産の方が多くなっている。日本には、配当、技術料の形位でしか利益を持って帰れない。多くの利益が現地会社で保有されている。それでも第1次所得と言われる収入で経常収支が黒字になっている。
・日本で作って、日本から輸出しても勝てる技術、製品、製造技術の開発が重要ではないか。
・他国には悪いが、日本が裕福になる為には、日本に入ってくるお金が増えないと国全体が富む状態にはならない。
・技術、製品の開発の基本は、目標、目的をぶらさず、一つ決めた事をとことん突っ込んでいく事である。流行に流されてはならない。一つオリジナルの開発が出来ると、その上に技術を積み上げて行く事に寄って更に独創的な強い技術、事業、会社になる。711年に建設された法隆寺の5重の塔他全ての5重の塔で壊れた物が1件もない。芯柱が基本。企業でも、研究でもこの芯柱に相当する物を持つ。
・労働者派遣法が出来てから、日本の事業の現場がおかしくなった。人件費を抑えるのが目的である。その為正規社員と言う人が沢山出て来て、貧富格差の原因になっている。
・大学入試では、共通1次試験制度が始まって学生がおかしくなった。またゆとり教育が始まって更におかしくなった。
・大学等が独立行政法人になって、1大学1企業の状態で、大学内での研究体制、研究制度の大変革が起こっていて、長期研究の積み重ねが必要な大学研究に合致しない制度に心配する。

第2部として、後藤達乎世話役(元・ダイセル)による交流会に移った。長老の薗頭健吉先生(大阪市立大学名誉教授)による乾杯のご発声後、マイクリレーにより、参加者全員から質疑、近況報告が始まった。谷口先生はご講演では、控えめの放言であったが、ベテラン聴講者からは中国との関係(ビジネス、政治など)、大学および教育の問題などにつき、谷口先生の持ち前の放言を引き出す場面が多かった。その放言回答から、議論が広まり、活発な談論が続いた。現役の大学人、企業人が大いに参考になる議論展開であり、シニアだけでは勿体ない感じがした。その活発さは、当然、谷口先生の見識ある放言であったことは、間違いない。平均70歳代の参加者であったが、会の終了時点では50歳代の雰囲気になっていた。ゆうごう会メンバーの威力をつくづく感じさせられた。

<第18回報告記>
松本和夫

≪ゆうごう会≫とは

本会シニア世代個人会員を対象にした懇話会で、「少し学び(知る)、知的に(遊ぶ)、それを心でつなぎ(和の心)、誰でも気楽に参加し、楽しめる会」を趣旨とし、会の名称も、有合協と和の精神(融合)を意味する「ゆうごう会」と命名したものです。

講師の谷口正俊先生(I&Cケムテック)

講師の谷口正俊先生(I&Cケムテック)

乾杯のご発声をされた薗頭健吉先生(阪市大名誉教授)

乾杯のご発声をされた薗頭健吉先生(阪市大名誉教授)

北 泰行先生(立命館大薬教授)

北 泰行先生(立命館大薬教授)

村岡 修先生(近畿大薬教授)

村岡 修先生(近畿大薬教授)

谷 一英先生(阪大名誉教授)

谷 一英先生(阪大名誉教授)

会場の看板

会場の看板

冒頭、開会のご挨拶をされた関西ゆうごう会お世話役代表の奥 彬先生(生産開発科学研)

冒頭、開会のご挨拶をされた関西ゆうごう会お世話役代表の奥 彬先生(生産開発科学研)

講演の部の1コマ

講演の部の1コマ

懇親の部の進行役を務められた後藤達乎氏(同お世話役/元ダイセル)

懇親の部の進行役を務められた後藤達乎氏(同お世話役/元ダイセル)

(左から)谷 一英先生(阪大名誉教授)、斎藤彰久氏(南カリフォルニア大)

(左から)谷 一英先生(阪大名誉教授)、斎藤彰久氏(南カリフォルニア大)

(左から)目黒寬司氏(同お世話役/浜理薬品工業)、薗頭健吉先生(阪市大名誉教授)、山口良平先生(京大名誉教授)

(左から)目黒寬司氏(同お世話役/浜理薬品工業)、薗頭健吉先生(阪市大名誉教授)、山口良平先生(京大名誉教授)

(左から)小林 允氏(金剛化学)、浜中信行氏(元浜理薬品工業)、平尾俊一先生(阪大名誉教授)

(左から)小林 允氏(金剛化学)、浜中信行氏(元浜理薬品工業)、平尾俊一先生(阪大名誉教授)

講師の谷口正俊先生と西口郁三先生(同お世話役/科学技術振興機構)

講師の谷口正俊先生と西口郁三先生(同お世話役/科学技術振興機構)

(左から)相馬芳枝先生(元産総研)、野村正勝先生(阪大名誉教授)

(左から)相馬芳枝先生(元産総研)、野村正勝先生(阪大名誉教授)

(左から)松本和男氏(同お世話役/ナールスコーポレーション)、平尾俊一先生(前出)

(左から)松本和男氏(同お世話役/ナールスコーポレーション)、平尾俊一先生(前出)

(左から)奥 彬先生(関西ゆうごう会お世話役代表/生産開発科学研)、谷中國昭氏(元日本農薬)、後藤達乎氏(前出)

(左から)奥 彬先生(関西ゆうごう会お世話役代表/生産開発科学研)、谷中國昭氏(元日本農薬)、後藤達乎氏(前出)

お問い合わせ

〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台1-5 化学会館
公益社団法人有機合成化学協会「ゆうごう会」係
(電話 03-3292-7621)(FAX 03-3292-7622)
e-mail : syn.org.chem@tokyo.email.ne.jp

ページ更新日
2016年07月07日