公益社団法人有機合成化学協会 SSOCJ - The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan

豊かな明日を創る有機合成

シニア懇話会「第21回ゆうごう会」(東京開催)【開催報告】

シニア懇話会「第21回ゆうごう会」(東京開催)【開催報告】
主催

有機合成化学協会

日時

[終了]平成29年05月25日(木)午後3時から6時30分頃まで

場所

化学会館5F会議室[千代田区神田駿河台1-5/TEL.03-3292-7621(有合化事務局)]

交通

JR中央線・総武線「御茶ノ水」駅、御茶ノ水橋口より徒歩5分

参加定員

30名(先着順)

参加費

5,000円

プログラム

話題提供(1)午後3時から6時30分頃まで

「創薬を志向した有機合成」
 (帝京大学名誉教授/元日本薬学会会頭)池上 四郎 先生

11年以前の現役時代に遂行していた研究成果について、関連する一部をお話しする予定です。
概略として、PG研究や糖化学分野、その他、今までに結果照会が少なかった研究成果などを含んで講演する予定にしております。

★懇親会(午後4時45分から6時30分頃まで) 講演会場にて開催

報告記

日時:平成29年5月25日(木)
参加者数:25名

本会シニア会員向けの企画である「ゆうごう会」が平成29年5月25日(木)午後3時より、化学会館5階会議室で開催されました。「ゆうごう会」は、東京、大阪あるいは名古屋で年2回程度開催され、今回で21回目を迎えました。今回は、帝京大学名誉教授、日本薬学会元会頭の池上四郎先生をお招きして「創薬を志向した有機合成」という演題でご講演を頂きました。 毎回「ゆうごう会」は常連の参加者が多いことから旧知のシニア会員の再会の場でもあり、和気あいあいとした雰囲気で進行します。当日は講演会に先立ち、参加者全員による近況報告、特に初めて参加の方には自己紹介をして頂き、「ゆうごう会」が始まりました。引き続き、池上先生にこれまでのご研究を中心としたお話を頂きました。池上先生は薬学博士を取得された後、米国インディアナ州立パデユー大学のH.C.ブラウン教授のもとで博士研究員として研鑽を積まれ、ご帰国後は東大助手、ついで国立放射線医学総合研究所(放医研)で研究員として勤務された後、42歳で帝京大学薬学部教授に就任されておられます。当日は、創薬への展開を志向された有機合成化学に関する池上先生の膨大な研究成果のなかから、放医研時代のお仕事も含めて帝京大学時代の代表的な研究を中心にお話頂きました。当日のお話のいくつかを挙げますと、1)「創薬とprostaglandin類縁体」と題して、生合成上プロスタグランジン(PGs)に関連づけられる化合物群のなかで、血小板凝集抑制作用をもつことから抗血栓作用を示すプロスタサイクリン(PGI2)および関連化合物の化学合成とその生物活性に関する研究成果をお話になりました。特に、イソカルバサイクリンと命名された合成類縁体にPGI2に匹敵する血小板凝集抑制作用があることで、当時大きな反響があったことをお話されました。ついで2)「創薬と糖化学」と題して、アノマー位にリン酸エステル等のリン元素含有の原子団を脱離基として備えた化合物を糖供与体としたグリコシル化の立体選択性(α/β比)に関する広範な研究をお話になりました。特に、armed/disarmedの概念に基づく糖供与体/糖受容体の識別に関する独創的研究成果を講じられました。またポドフィロトキシン等の生物活性天然物のグリコシル化についても触れられておられます。ついでパラジウム(II)を触媒とするFerrier2型環化反応の開発、および環化成績体の活用としてのシクロフェリトールの全合成や光学活性なイノシトール類やイノソース類の合成研究が紹介されました。ついでD系列の糖質からL系列のヘキソース類の簡便な合成法の開発に関する成果も示されました。当日の糖化学の話題は、還元的グリコシル化の開発、糖尿病治療薬創生を指向した6,6’-エーテル結合を介した二糖類の合成、1,6’-ウレタン結合を介したオリゴ糖の合成等にも及びました。ついで3)有機化学の他分野への応用として、放医研時代の研究が紹介されました。それは、かつて我が国で大きな社会的問題となったカネミ油症の原因物質であったカネクロール400に代表されるポリ塩化ビフェニル類のトリチウム標識化合物の合成に関するもので、最後に4)創薬研究の一つとしてゲルマニウム含有の医薬品 プロパゲルマニウム( 2-カルボキシエチルゲルマン三二酸化物 )の合成と形状に関する研究が駆け足で紹介されました。3)と4)はこれまであまり公知ではない先生の若い時期の研究として大変興味深いものでした。こうして1時間30分近い講演時時間があっという間に過ぎてゆきました。
その後の会場からの質問にも池上先生は丁寧に回答されておられました。
  講演会終了後は会場を変え、懇親の部へ移りました。まず廣部雅昭さま(東京大学名誉教授/元静岡県立大学学長)にご挨拶と乾杯のご発声を頂きました。その後およそ1時間半あまりの懇親の場でしたが、参加者全員が旧交を温めることのできた、思い出深いひと時となったことと思っております。その場では最近の有機合成化学に関する話題、協会の将来への期待などと話題が尽きず、そこかしこで話に花が咲いておりました。名残り惜しさを残しながら、午後6時30分過ぎに次回の再会を誓って散会となりました。次回はご常連に加え、初めて参加される方にも是非「ゆうごう会」の雰囲気に浸って頂きたいと思っています。 かつて協会に関わった多くのシニア世代の方々のご参加を、心よりお待ち申し上げます。

<第21回報告記>
只野金一

≪ゆうごう会≫とは

本会シニア世代個人会員を対象にした懇話会で、「少し学び(知る)、知的に(遊ぶ)、それを心でつなぎ(和の心)、誰でも気楽に参加し、楽しめる会」を趣旨とし、会の名称も、有合協と和の精神(融合)を意味する「ゆうごう会」と命名したものです。

講師の池上四郎先生(帝京大名誉教授)

講師の池上四郎先生(帝京大名誉教授)

辻 二郎先生(東工大栄誉教授/本会名誉会員)

辻 二郎先生(東工大栄誉教授/本会名誉会員)

奈良坂紘一先生(東大名誉教授)

奈良坂紘一先生(東大名誉教授)

今木 直氏(ゆうごう会世話役/元三菱化学)

今木 直氏(ゆうごう会世話役/元三菱化学)

講演の部の司会を務められた只野金一先生(ゆうごう会世話役/乙卯研究所)

講演の部の司会を務められた只野金一先生(ゆうごう会世話役/乙卯研究所)

懇親の部の司会を務められた井澤邦輔氏(ゆうごう会世話役/浜理薬品工業)

懇親の部の司会を務められた井澤邦輔氏(ゆうごう会世話役/浜理薬品工業)

講演の部の1コマ

講演の部の1コマ

講演の部の1コマ

講演の部の1コマ

懇親の部で 乾杯のご発声をされた廣部雅昭先生(東大名誉教授・静岡県大名誉教授)

懇親の部で 乾杯のご発声をされた廣部雅昭先生(東大名誉教授・静岡県大名誉教授)

左から伊藤健兒先生(ゆうごう会世話役/名大名誉教授)、福山 透先生(名大院創薬科学)、只野金一先生(前出)、井澤邦輔氏(前出)、伊関克彦氏(東レ)

左から伊藤健兒先生(ゆうごう会世話役/名大名誉教授)、福山 透先生(名大院創薬科学)、只野金一先生(前出)、井澤邦輔氏(前出)、伊関克彦氏(東レ)

左から今本恒雄先生(千葉大名誉教授)、飯沼勝春氏(ゆうごう会世話役/JSR)、井原正隆先生(ゆうごう会世話役/星薬大)、講師の池上四郎先生、加藤喜規氏(ゆうごう会世話役/EPSアソシエイト)

左から今本恒雄先生(千葉大名誉教授)、飯沼勝春氏(ゆうごう会世話役/JSR)、井原正隆先生(ゆうごう会世話役/星薬大)、講師の池上四郎先生、加藤喜規氏(ゆうごう会世話役/EPSアソシエイト)

左から一戸良行先生(日本大名誉教授)、高須 到氏(元ダイセル)

左から一戸良行先生(日本大名誉教授)、高須 到氏(元ダイセル)

左から渥美國夫氏(南海化学アールアンドディー)、関根光雄先生(環境レジリンス・東工大名誉教授)

左から渥美國夫氏(南海化学アールアンドディー)、関根光雄先生(環境レジリンス・東工大名誉教授)

左から村上泰興先生(元千葉科学大薬)、廣部雅昭先生(前出)、井澤邦輔氏(前出)、
岩隈建男氏(金剛化学)、中川昌子先生(千葉大名誉教授)

左から村上泰興先生(元千葉科学大薬)、廣部雅昭先生(前出)、井澤邦輔氏(前出) 岩隈建男氏(金剛化学)、中川昌子先生(千葉大名誉教授)

左から佐々木博朗氏(ゆうごう会世話役/元東ソー)、桑嶋 功先生(ゆうごう会元代表/東工大名誉教授)、藤田眞作先生(湘南情報数理化学研究所)、辻 二郎先生(前出)

左から佐々木博朗氏(ゆうごう会世話役/元東ソー)、桑嶋 功先生(ゆうごう会元代表/東工大名誉教授)、藤田眞作先生(湘南情報数理化学研究所)、辻 二郎先生(前出)

講師の池上四郎先生と平岡哲夫氏(THS研究所)

講師の池上四郎先生と平岡哲夫氏(THS研究所)

お問い合わせ

〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台1-5 化学会館
公益社団法人有機合成化学協会「ゆうごう会」係
(電話 03-3292-7621)(FAX 03-3292-7622)
e-mail : syn.org.chem@tokyo.email.ne.jp

ページ更新日
2017年07月04日