公益社団法人有機合成化学協会 SSOCJ - The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan

豊かな明日を創る有機合成

巻頭言

有機合成化学協会の生命線
甲斐 學


 “21世紀へ伝える有機合成化学一私の感動,興奮の瞬間”という魅力的な特集号が20世紀最後の特別企画としてお目見えすることになった。

 会員の皆様とご一緒にわくわくしながら読ませていただいて“感動と興奮”を共有させていただく所存である。本協会は第二次世界大戟のさなかの1942年に国策的な願いもこめられて設立された。  還暦を迎える2002年にはお祝いの60周年記念行事を企画している。今月号の枠組みが,その企画の切り口の1つとしても役立つことを祈っている。

 協会誌の大切な役割は会員のひとりずつを束ねる求心力として機能することである。ありがたいことに,本誌はその役割をかなり立派に果しているという評価をいただいている。

 これがうけている理由は編集方針としで“限りなくオリジナルに近い内容を総説として,最も相応しい執筆者として選んで提供してきたからだ”と思っている。  本協会は“協会”という名でこそ呼ばれているが,有機化学という専門分野をより所とする極めてレベルの高い専門家集団である。

 日本では多くの研究者が学問先進国を自負して,先端分野の研究に打ち込んでおられるが,世界水準でフロンティアレベルとして認知されている数少ない分野の中に有機合成化学がある。これはその分野で仕事に関わらせていただいている者としては誇らしい限りである。

 そのような環境のなかで,産・学・官の強い連携のもとで人の輪を広げ,(1)質の良い情報を共有することに力を注ぎ,(2)中途半端な論文誌は出さない,(3)年会は開かないという姿勢を貫き通してきた。

 またそれであるからこそ,シンポジウム,講習会,討論会,見学会,若手研究者の集いそして専門書の発行などを大切にしなければならない。

 世間の経済環境が厳しいほど企画の質の差が事業の成果として現れるので気も許せないし,手も抜けない。

 21世紀のマネージメントの基調は,小さい本部が,素敵に機能するサテライト群をどう束ねていくのかにかかっているのだと思う。

昨年度はサテライトとしての各支部が、その個性と持ち味をどのように生かして機能させておられるのかを現地に出かけて勉強させていただいた。それぞれの支部が全く異なった環境のなかで,文化と歩みを大切にしながら精一杯の工夫を凝らして努力しておられる姿をつぶさにみせていただいた。そのうえで,活力を持つ支部との連携こそが協会全体の活性化につながるのだ,という認識を共有することができたことが嬉しい。

 そこで,当面本協会は,

  (1)運営会と理事会と支部長会
  (2)編集委員会
  (3)事業委員会

がトリオとしてうまくバランスが取れるように運営することにしたいと考えている。

 これらのコンセプトを良く理解していただいたうえで,会員との接点にたって会員マインドで,組織を円滑に回していただくのが本部事務局の本来の仕事である。

 今,会長としてはスリムな構成で,役割を良く心得て仕事をして下さっている事務局に仕事を支えられていることを誇りに思っている。この体制を十分生かし,その機動力で,心のこもった会員へのサービスができるような新しいオフィスをつくるつもりである。

 このような体質で運営されている協会である限り,隣組の“学会”とは極めて協業体制が取りやすいはずであると考えている。自己完結型にならずに関連のある学会とはできるだけ手を携えあっていきたい。

 21世紀をご担当いただく来年度以降の役員の方々に少しでもよい状態でバトンタッチをするつもりですので皆様方のご支援をお願いいたします。


(2000年3月3日受理)
ページ更新日
2012年4月17日