公益社団法人有機合成化学協会 SSOCJ - The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan

豊かな明日を創る有機合成

平成28年度 前期(春季)有機合成化学講習会プログラム

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平成28年度 前期(春季)有機合成化学講習会プログラム
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有機合成化学が生みだす新世界―反応開発からもの創りまで

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    ※質疑応答時間を含む

第1日目[6月15日(水)] 10:00~19:45頃   →第2日目のプログラムへ

  1. 10:00~11:00
    理論計算と合成化学の融合による反応開発・機能創出

    東京大学大学院薬学系研究科教授
            /理化学研究所内山機能元素化学研究室主任研究員  内山 真伸 先生

    有機化学や物質科学には、「手に取り出すことのできないもの」「目には見えないもの」が多数存在する。反応における遷移構造・不安定活性種や、物質の性質、軌道間相互作用などもその一つである。これらをいかに合理的にデザインするかが合成化学や物質創製にとってとても重要である。私たちの研究室では、「実験化学」を縦糸に、「理論計算」を横糸に組み合わせることによって、元素の特性を理解し、機能をデザインすることで、いくつかの合成反応、機能性分子を開発してきた。本講習では当研究室の最近の成果を中心に概説する。

  2. 11:10-12:10
    ニッケルと不飽和化合物だけで組み上げる有機合成

    大阪大学大学院工学研究科教授 生越 専介 先生

    ニッケルは、比較的安価な遷移金属であり広く有機合成反応に使われている。その大きな特徴の一つは、炭素-ヘテロ原子不飽和結合が容易にニッケルへπ配位することであり、ヘテロ原子を含む多様な化合物を合成する事が可能となる。本講演では、種々の遷移金属錯体触媒により可能となる不飽和化合物の変換反応を紹介するとともに、演者らが最近開発したニッケル触媒を用いる合成反応述べる。

  3. ++ランチョンセミナー(12:15~13:00)++
    ※2社のレクチャーを予定(日本電子(株)、ロックウッドリチウムジャパン(株))

    13:00-13:30~ブレイク~

  4. 13:30-14:30
    ペプチド化学を基盤とする中分子創薬への展開 ―低分子薬Plinabulinから抗体薬物複合体(ADC)創薬への展開―

    東京薬科大学薬学部教授 林 良雄 先生

    従来の低分子医薬品に加え、抗体医薬のような高分子が創薬における重要な位置を占める時代となっているが、最近さらに両者の利点を兼ね備えた新たな創薬プラットフォームとして「中分子」が注目されている。本講習では、ペプチド基盤の中分子創薬を概説し、更に我々の進める中分子創薬研究例を述べる。中でも腫瘍血管遮断剤(VDA)として独自開発したチューブリン重合阻害剤Plinabulin (PhaseⅢ)を利用した中分子ペプチド−抗がん剤架橋体の創製に基づく、抗体薬物複合体(ADC)への展開について解説する。

  5. 14:40-15:10
    新規カリウム競合型アシッドブロッカー ボノブラザンフマル酸(タケキャブ®)の創製-究極の酸分泌抑制薬を目指して-

    武田薬品工業(株)医薬研究本部化学研究所主席研究員 西田 晴行 先生

    消化器疾患の一つである酸関連疾患の治療にはプロトンポンプ阻害薬(PPI)が主に使われているが、十分な治療効果が得られない患者も少なくない。そこで、我々はPPIによる治療の課題を解析し、治療向上を目指してカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)と呼ばれる新しいタイプの酸分泌抑制薬に着目した。社内ライブラリー化合物より見出したヒット化合物を基に最適化の検討を鋭意進めた結果、強い酸分泌抑制作用と優れた化合物特性を併せ持つボノプラザンフマル酸塩(TAK-438)を2005年に発見し、2015年2月にタケキャブ®錠として上市に至った。

  6. 15:10-15:40~ブレイク~(30分間)

  7. 15:40-16:40
    含中員環天然物の合成化学

    早稲田大学先進理工学部教授 中田 雅久 先生

    中員環(8-11員環)はひずみが大きいため、特有の反応性、物性を示し、また合成困難であることが知られている。そして、その傾向は中員炭素環で顕著である。したがって、中員炭素環を含む天然物の合成は難題とされてきた。実際、8員炭素環を含むタキソールの全合成は、1971年の単離構造決定から20年以上の歳月を要した。しかし、有機合成化学の進歩に伴い、中員環形成に有効な反応も増え、中員環を含む天然物の合成はさほど困難ではなくなってきた。本講習では、中員環の化学と含中員環天然物の合成について述べる。

  8. 16:50-17:50
    不斉触媒酸化反応

    中部大学総合工学研究所分子性触媒研究センター長/教授 山本 尚 先生

    複雑な分子構築を指向した医薬品設計は、多くの官能基を備え、しかも、不斉である場合が多い。こうした分子を最も効率的に合成するには、触媒的不斉酸化反応が効果的である。カルボニル基を起点とするニトロソ化合物を用いた窒素、酸素の不斉導入が出来るニトロソ・アルドール合成や、ニトロソ・ディールス・アルダー反応について紹介する。また、アルコールを起点とする触媒的不斉エポキシ化反応と、生成するエポキシドを開裂、さらに複数官能基の位置と立体化学を制御した反応について述べ、最後に、触媒支配の化学反応への展望を議論する。

18:00-19:45ころ  ※[ミキサー&アフターディスカッション]

同所にて1日目の講師、2日目の講師の先生方を交えてゆっくりディスカッションができるように設定したもので、本講習会ならではの恒例企画です。(自由参加)

第2日目[6月16日(木)] 9:30~16:40  →第1日目のプログラムへ

  1. 9:30-10:30
    キラルブレンステッド酸触媒を用いた不斉合成:どこまで使いこなせるか?

    東北大学大学院理学研究科教授 寺田 眞浩 先生

    ブレンステッド酸は汎用性の高い触媒として古くから用いられてきたが、その機能化による触媒的不斉合成が実現されたのは10年ほど前と比較的最近になってからである。そのきっかけとなった軸不斉ビナフトールを不斉源とするキラルリン酸触媒は現在、多くの研究者によって用いられており、多彩な反応系の不斉触媒化が実現されている。これまでの反応適用例を概観するとともに、キラルリン酸触媒を用いた開発研究の動向とともに、キラルリン酸の共役塩基を用いた立体化学制御など、最先端研究の一端を紹介する。

  2. 10:40-11:40
    安全・簡便・短工程有機合成を指向したPd触媒反応

    静岡県立大学薬学部教授 眞鍋 敬 先生

    一酸化炭素ガスを用いる遷移金属触媒カルボニル化反応は、カルボニル基をもつ化合物の優れた合成法である。一方、毒性の高い一酸化炭素ガスの代わりに、簡便に取り扱える等価体を用いる手法が開発されてきた。本講習では、一酸化炭素等価体としてギ酸フェニルやギ酸2,4,6-トリクロロフェニルを用いるPd触媒反応を中心に、安全・簡便に実施可能な手法を紹介する。また、もう一つのトピックとして、位置選択的クロスカップリングを実現するホスフィン配位子DHTPによる、インドール類等のワンポット簡便合成についても述べる。

  3. ++昼食(11:40~13:00)++
    ※2日目はランチョンセミナーの設定はありません。

  4. 13:00-13:30
    フッ素化学基幹原料を用いる新しい分子変換反応

    旭硝子(株)技術本部先端技術研究所特別研究員 森澤 義富 先生

    テトラフルオロエチレン(TFE)などをモノマーとして用いる含フッ素高分子はフッ素化学工業の中心であり、その特異な機能がさまざまな分野で活用されているが、医薬品や農薬、また液晶材料のような低分子系機能性材料においても、近年フッ素原子の役割に対する期待がますます大きくなってきている。本講演では、含フッ素低分子化合物の合成法に関し、従来から用いられてきたフッ素化学基幹原料の活用例を紹介すると共に、最近発表されたTFEなどポリフルオロアルケン化合物を用いた新しい分子変換手法の開発についても概説する。

  5. 13:40-14:10
    FGFR(Fibroblast Growth Factor Receptor)阻害剤CH5183284/Debio 1347の創製

    中外製薬(株)研究本部創薬化学研究部 海老池 啓達 先生

    FGFR は受容体型チロシンキナーゼの一種であり、癌細胞の増殖や転移などへの関与が示唆されている。我々は、自社化合物ライブラリーのハイスループットスクリーニング(HTS)により既存のキナーゼ阻害剤と異なるアミノピラゾール骨格を持つヒット化合物を得た。FGFR1と化合物の3次元構造の解析を元に構造最適化を行い、開発候補品を得た。本講習では、Hit-to-leadと構造最適化について詳述する。

  6. 14:10-14:30~ブレイク~(20分間)

  7. 14:30-15:30
    生細胞有機化学によるタンパク質その場解析の分子技術

    京都大学大学院工学研究科教授 浜地 格 先生

    タンパク質は創薬標的として最も重要な分子の一つである。その構造や機能はこれまで単離精製された系で行われてきた。一方タンパク質が本来存在するいきた細胞系での解析は、その手法が限られてきたため、十分ではない場合が多い。本講演では、有機化学を基軸としてタンパク質を選択的にラベル化する手法の最近の進歩を概説し、タンパク質イメージングや創薬、new discoveryへの展開に関して述べたい。

  8. 15:40-16:40
    分子世界と実世界を結ぶ化学

    東京大学総括プロジェクト機構/理学系研究科教授 中村 栄一 先生

    「分子をいくら精密に設計しても望み通りの物性や機能を実現できることは稀」。大学、企業を問わず分子を取り扱う研究者の共通の悩みである。分子科学と分子技術の間に横たわるボトルネック、つまり量子の世界から実世界をつなぐナノ・メゾスコピック領域で生じる分子集合体の性質に関する理解の欠如に起因する。この領域の化学研究では、単一分子の解析と制御だけでは十分ではなく、多種多様な分子からなる分子のシステム、すなわち溶液、膜や固体の非平衡・非周期性システムの解析と制御が必須である。 本講習では高分解能電顕と既存の構造解析法および有機合成手法とを組み合わせて演者が取り組んでいる研究について述べる。

展示コーナー

講演に関連する材料や機器(情報集積・表示関連材料・機器、分子モデルソフト、コンビ関連機器、新試薬など)の展示を行います。

ページ更新日
2016年06月01日