公益社団法人有機合成化学協会 SSOCJ - The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan

豊かな明日を創る有機合成

第106回有機合成シンポジウム2014年【秋】開催報告

第106回有機合成シンポジウム2014年【秋】開催報告
主催 有機合成化学協会
共催  日本化学会、日本薬学会、日本農芸化学会
後援  早稲田大学理工学研究所
日時 [終了]平成26年11月6日(木)~7日(金) 
会場 早稲田大学18号館 国際会議場
[〒169-0051 新宿区西早稲田1-20-14 ]
交通 東京メトロ東西線「早稲田駅」下車徒歩約10分
研究発表形式 ①ポスターのみ[ショートオーラル2分=](締切)
②オーラル&ポスター[質疑応答時間を含めオーラル15分](6/27 締切)
講演プログラム

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開催報告

1日目

去る平成26年11月6日(木)~7日(金)の2日間の日程で、早稲田大学国際会議場(西早稲田)において第106回有機合成シンポジウムが開催されました。

秋のシンポジウムは例年、口頭発表は発表時間13分・質疑応答2分、ポスター発表についてはショートトークレクチャーとして各2分の発表時間が与えられています。また、口頭発表を含む全講演者が2日目の午後にポスター発表を行うことになっています。今回のシンポジウムでは口頭発表38件とポスター発表14件の講演がありました。

1日目の発表は口頭発表のみで、9:45から新規合成反応に関する講演や天然有機化合物の合成研究に関連する講演がセッションごとにまとめて夕方遅くまで行われ、18:30からは講演者との交流を目的としたミキサーが会議場上階の会議室において行われました。

ミキサー会場にて

まず、本会会長の鈴木啓介先生(東工大院理工)から、清水功雄先生(早大理工・現関東支部長)と香月 勗先生(九大院理)の訃報があり、懇親会会場にいる者全員で黙祷を捧げた後、北 泰行先生(立命館大薬)による献杯の挨拶によってミキサーは始まりました。香月先生の訃報は知られていなかったため、会場内は暫くの間動揺が続きました。その動揺が静まった後は、久しぶりに会う者同士、一緒に参加した仲間達、発表者に質問をする者達などの様々な小集団が形成し、飲んで食べて討議して大いに盛り上がりました。
最後に、本会理事・佐治木弘尚先生(岐阜薬大)が学生さん達に、「本シンポジウムで発表出来ることを誇りに思って下さい。そして、シンポジウム内での討議やここで受けた刺激を基に、互いに切磋琢磨して今後の研究生活を充実させて、有機合成化学協会を大いに盛り上げましょう。そうなれば、亡くなられた両先生も非常に喜ばれます。」という挨拶で本ミキサーは終了しました。

2日目

2日目は9:40に始まり、口頭発表の後、ポスター発表のショートレクチャーが行われました。ショートレクチャーの講演者は2分の講演時間厳守で2~3枚のスライドを使って講演を行います。各自2分の短い講演時間の中で研究をPRするための工夫がなされており、発表者は十分準備をしていると感じました。

その後14:10から15:50まで会議場3階の2つの会場を使って全発表者によるポスターセッションが始まりました。会場では活発な議論が行われ、ポスター賞審査員を含むシニア研究者と発表者の議論はもちろん、学生参加者と発表者の実験条件の細部にわたる質問なども活発に行われていました。

受賞講演

「インフルエンザ治療薬とイナビル®の創製」(第一三共)小林慶行 有機合成化学協会賞(技術的なもの)受賞講演
「インフルエンザ治療薬とイナビル®の創製」
(第一三共(株))小林 慶行 先生


「理論計算と合成化学のインテグレーション反応開発/新材料創製」(東大院薬・理研)内山真伸 平成25年度企業冠賞受賞講演:日産化学・有機合成新反応/手法賞
「理論計算と合成化学のインテグレーション反応開発/新材料創製」
(東大院薬・理研)内山真伸 先生


小林慶行先生(第一三共)のご講演からは創製の過程で遭遇した課題を、有機合成技術を巧みに活用してドラッグデザインに役立てられた経緯について伺うことができました。創製から販売まで15年かかっており、企業研究を成功させる難しさが印象的でした。
一方、内山真伸先生(東大院薬・理研)のご講演からは理論計算と合成化学を融合して反応機構の詳細を明らかにし、Passerini反応、ニッケル触媒[3+2+2]環化付加反応を例として実例を紹介していただきました。さらには、理論計算から得られた結果を活用して、ボリルアニオンを活用した新反応開発や、機能性材料を創製するという融合の可能性について学ぶことができました。

ポスター発表優秀賞

受賞講演の時間中に学生発表者を対象に贈られる「ポスター発表優秀賞」の審査結果の集計と賞状、副賞の準備が進められ、講演終了後、引き続き、表彰式がありました。 今回のシンポジウム実行委員長・細川誠二郎先生(早大理工)より6名の学生研究者の名前が読み上げられました。

O-14 山下賢二さん(名大院工)/ O-17 梅宮茂信さん(東北大院里)
O-31 小田木陽さん(東農工大院工)/ O-33 佐藤翔吾さん(東工大院理工)
O-36 上杉修平さん(九大院薬)/ P-03 木村梨乃さん(名大院生命農)

受賞された学生研究者のみなさま、おめでとうございます!受賞の有無に関わらず、引き続き、優れた研究成果が発表できるように、頑張ってください。
 最後に、実行委員長の細川先生より閉会の辞が述べられ、2日間に亘って開催した本シンポジウムは非常に盛会裡に、そしてたいへん有意義に無事に終了することができました。

両日に亘り、合計52演題の最新の研究成果の発表と2つの受賞講演が行われ、熱い討論が講演会場、さらにはポスター会場で活発に繰り広げられました。最新の研究に触れ、見識を広めることで、皆さんの研究活動の刺激になったのではないでしょうか。是非、研究室に戻られて、一層の研究に励んでいただければと思います。
次回の有機合成シンポジウムは6月9日、10日の両日で(第107回有機合成シンポジウム・慶應義塾大学薬学部マルチメディア講堂において)開催を予定しています。多くの方の参加をお待ちしております。

事業委員にきく【秋のシンポジウムのよいところ】

①1会場のみの運営で、その会場に大学・研究機関と企業の有機合成に携わる多様な関係者が集まる点、中でも特に企業参加者が多いのは本シンポジウムの特長です。
②十分な口頭発表の時間が確保されていることと、2日目に口頭発表者とポスター発表者の全員が一堂に会してポスター発表を行うという点です。
特に②については他の学会やシンポジウムにはあまり見られない珍しいスタイルで、これによるメリットは以下の通りです。

発表者のメリット

①1会場しかないので、参加者全員が自分の発表を聞いてくれます。企業を含むいろいろな参加者からさまざまな鋭い質問や意見が飛び出すのでけっこう刺激的です。
②全員が口頭発表(またはショートレクチャー)の後でポスター発表を行うので、規定の質疑応答時間で議論しつくせなかった場合もあとで議論ができる。また質疑応答時間に我を失ってうまく答えられなかった場合でも同様に後でやり直せます!

参加者のメリット

①2会場以上が併設されている他のシンポジウムでは同時間帯に発表される講演を両方聞きたいのに、、、と困ることがありますが、このシンポジウムではレベルの高いまとまった研究が1会場のみで発表されますので聞きたい講演が聞けないということがありません。またレベルの高いさまざまな質疑応答を聴講できるので新しい視点からものを考えることができます。
②口頭発表講演を聞いて「質問したいのだけれど手を挙げる勇気がない」という人や「いろいろな意味で皆の前では聞けない質問」もポスター会場でひっそりと質問できます。

発表件数にある程度の制限はありますが、このシンポジウムは素晴らしい形態になっているとあらためて感じました。そして、このシンポジウムで発表することはとても価値が高く、名誉あることと思いました。この記事をお読みになって有機合成化学シンポジウムに最近参加していない会員諸氏はぜひまた参加していただきたいと思います。そして大学院生レベル以上の学生会員や若い研究者の方はある程度まとまった研究成果がたまったらぜひシンポジウムにエントリーし、成果を発表してほしいと思います。



<2014年度事業委員会委員>
(東京理大・佐竹彰治)  (味の素製薬(株)・宮永渉)  ((株)三菱化学科学技術センター・佐藤直正)

ページ更新日
2015年1月28日