イベント   -   協会本部

  1. 2024年
  2. 2023年
  3. 2022年
  4. 2021年
  5. 2020年
  6. 2019年
  7. 2018年
  8. 2017年
  9. 2016年
  1. 協会本部
  2. 北海道支部
  3. 東北支部
  4. 関東支部
  5. 東海支部
  6. 関西支部
  7. 中国・四国支部
  8. 九州・山口支部
  1. 会告
  2. 研究部会
  3. シンポジウム
  4. フォーラム
  5. セミナー
  6. 講習会
  7. 講演会
  8. 懇談会

シニア懇話会「第24回ゆうごう会」(東京開催)【開催報告】  終了しました

日時
平成29年12月4日(月)15時~18時30分【終了しました】
場所
化学会館5F501A会議室[千代田区神田駿河台1-5]
主催
有機合成化学協会

話題提供

「創薬におけるセレンディピティ」
元大正製薬(株)医薬研究所長/本会元副会長)森本 繁夫 先生

創薬は極めての難事業であり、その成功には多くの幸運が必要であると言われる。演者は、一般用医薬品(大衆薬)を専門としていた製薬企業で創薬研究に従事し、新規抗生物質クラリスロマイシンとの幸運な出会いを経験した。この薬剤の開発研究の舞台裏を紹介することで、創薬におけるセレンディピティの重要性を考えてみたい。

報告記

日時:平成29年12月4日(火)
参加者22名

本会シニア会員向けの企画である「第24回ゆうごう会」が平成29年12月4日(月)午後3時より、化学会館5階会議室で開催されました。「ゆうごう会」は、主として東京あるいは大阪で年2回程度開催され、今回で24回目を迎えました。今回は、元大正製薬(株)医薬品研究所所長で、元有機合成化学協会副会長の森本繁夫博士をお招きして「創薬におけるセレンディピティ」という演題でご講演を頂きました。毎回「ゆうごう会」は常連の参加者が多いことから旧知のシニア会員の再会の場でもありますが、今回も初めてご参加頂いた数名の方々も加わっての和気あいあいとした雰囲気の会でした。 当日は講演会に先立ち、参加者全員による簡単な自己紹介と近況報告をして頂き、「ゆうごう会」が開始されました。引き続き、森本博士にこれまでの「抗生物質クラリスロマイシンの創薬研究」を中心としたお話をして頂きました 森本博士は東北大学農学部農芸化学科の大学院修士課程を終了後に、大正製薬(株)に入社され、その後35年間一貫して創薬研究領域で研究現場をリードされてこられ、マクロリド系抗菌剤クラリスロマイシンの発見、開発、そして実際に医薬品として上市に到るまでの創薬研究を陣頭指揮された方です。森本博士は、大正製薬(株)に在職中、医薬品開発本部創薬研究所長、医薬事業グループ(執行役員)医薬研究所長、監査役(常勤)を歴任され、平成27年6月に大正製薬(株)を退職されておられます。当日は、大正製薬(株)医薬品研究所において1970年代初頭に、14員環マクロリド系抗生物質、なかでもエリスロマシンの誘導化を新規な創薬研究の対象として選ばれた経緯の紹介から講演が始まりました。当時エリスロマシンの薬物動態での改良を目指し世界中で進められていた誘導体研究は極めて成果が乏しいものであったが、森本博士らの創薬プロジェクトも結果が出ず途中で挫折し、開始から4年目に一端中止となったこと。 森本博士はその後ペプチド構造をもつSHタンパク質分解酵素阻害剤の開発研究に従事されたが、この間もエリスロマイシンの改良研究への思いを抱き続け、エリスロマイシンの水酸基のアルキル化方法を偶然にも発見することによりこの創薬プロジェクトの再開にこぎつけたこと。そして合成された種々のO-アルキル体の中で6-0-メチル体がエリスロマイシンを凌駕する抗菌活性と酸安定性や血中濃度に関して改良された薬物動態を有することを幸運にも見出し、この化合物は1980年に特許申請され、後にクラリスロマシンとして世に出ることになった経緯が紹介されました。 さらにその後、クラリスロマイシンの工業的合成法の開発に注力され、エリスロマイシン保護体の選択的なO-メチル化を探索し、最終的に全行程45%以上月産トン単位である方法が確立されたとのことです。その後臨床試験を経て1991年にクラリスの名称で上市された訳です。最後に森本博士は、クラリスロマイシンの最近の市場動向やクラリスロマイシン後継品の開発を主とした今後のマクロリド系抗生物質研究への期待、これまでの研究者人生におけるセレンディピティを纏められて、1時間30分近い講演時時間を締めくくられました。その後の会場からの3つのコメントにも丁寧に回答されておられました。
講演会終了後は会場を変え、懇親の部へ移りました。まず辻 二郎博士(東京工業大学大学栄誉教授)にご挨拶と乾杯のご発声を頂きました。その後およそ1時間半あまりの会食、歓談へ移りました。いつもながら参加者全員が旧交を温め、今昔の化学の話やお互いの近況についてなど、さまざまな話題で盛り上がるグループがいくつも出来ていました。参加者全員にとって思い出深いひと時となったことと思います。名残り惜しさを残しながら、午後6時30分過ぎに桑嶋 功博士(東京工業大学名誉教授)の中締めで、次回の再会を誓って散会となりました。
次回はご常連に加え、初めて参加される方にも是非「ゆうごう会」の雰囲気に浸って頂きたいと思っています。かつて協会に関わった多くのシニア世代の方々のご参加を、心よりお待ち申し上げます。

第24回報告記
文責 只野金一

ゆうごう会とは

本会シニア世代個人会員を対象にした懇話会で、「少し学び(知る)、知的に(遊ぶ)、それを心でつなぎ(和の心)、誰でも気楽に参加し、楽しめる会」を趣旨とし、会の名称も、有合協と和の精神(融合)を意味する「ゆうごう会」と命名したものです。

お問い合わせ

〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台1-5 化学会館
公益社団法人有機合成化学協会「ゆうごう会」係
(電話 03-3292-7621)(FAX 03-3292-7622)
e-mail : tokyo.email.ne.jp