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シニア懇話会「第28回ゆうごう会」(大阪開催)【開催報告】

日時
2019年12月12日(木)15:00~16:30/交流会(ミキサー):16:30~18:30
場所
キングオブキングス[大阪駅前第1ビル地下1F/TEL 06-6345-3100]
[交通]JR「大阪駅」より徒歩5分、地下鉄四つ橋線「西梅田」駅より徒歩2分
主催
有機合成化学協会

報告記

参加者数:15名

 元号が新しくなったその年の瀬に第28回「ゆうごう会」が大阪で開催された。大阪での開催は昨年に続き9回目である。この1年を振り返れば、気候変動の影響が年々より厳しい台風の襲来として表れつつある様に思われる。その一方で、令和元年を飾るごとくリチウムイオン電池の開発により吉野 彰 博士がノーベル化学賞を受賞された。昨年に続くノーベル賞受賞のニュースは日本人の底力を示し、特に今回は企業の研究と云うこともあり、各方面に様々な刺激をもたらしたように思われる。
 さて今回の「ゆうごう会」は、大阪市立大学名誉教授の磯江幸彦先生による話題提供で、定年退職後に始められた25年にわたる野鳥観察についての90分のご講演であった。色鮮やかな魅力的な野鳥のスライドと1枚1枚に込められた感慨深い解説に、15名の参加者が興味深く熱心に聴き入った。特に、原稿なしでそれぞれの鳥の名前や訪ねた地名を次々と紹介される様子には、米寿を迎えられた年齢を感じさせない迫力が感じられた。講演終了後の懇親会・討論会は、いつもに増して和気あいあいとしたザックバランな雰囲気の中で進行し、時間の経つのも忘れるくらいであった。
 以下に、ご講演の意図を損なわないためにも、頂戴した講演概要をそのまま掲載したい。

「鳥を見る、自然を観る、地球を診る世界旅」
(大阪市立大学名誉教授)磯江 幸彦 先生

少々大きなタイトルをつけていますが、鳥を見ることは鳥の生き様を観察することであり地球の健全性を見ることにも繋がります。以下に3つの話題について紹介します。

第一話 カワセミの話:

翡翠色に輝き空飛ぶ宝石とまで言われているカワセミ(体長17cm)の魅力に取りつかれ、多くの人が鳥の世界にはまり込んだと云われています。また、新幹線500系の先頭部分のモチーフとなったのがカワセミの嘴から頭にかけての形であり、トンネルに突入する際の衝撃波を小さくするのに大いに役だったという話は有名です。このカワセミは、日本のほかヨーロッパ各地やインド、東南アジアにも生息しています。それでは日本にいるカワセミの紹介から始めます。
 山間部の渓流や湖などには大型のヤマセミ(体長38cm)がいます。立派な冠羽のある白黒かの子模様のカワセミで、木の枝や岩場から時にはホバリングしながら水中の魚めがけて飛び込む豪快な狩りをします。ほかにも、アカショウビン(体長27cm)が毎年5-6月にかけ東南アジアから渡ってきます。この野鳥は、主にカエルやトカゲなどの小動物や昆虫などを捉えて高木の巣穴で子育てをします。その他、日本海側の島礁には北への渡りの途中に立ち寄るヤマショウビンがいます。ショウビンと名の付くカワセミは世界各地(東南アジア、インド、オセアニア、アフリカ各地)に広く分布し、その数は数十種にも及ぶでしょう。長い尾のラケットカワセミ類もパプアニューギニアには数種生息し、一部はオーストラリア北東部ケアンズに渡りをします。カワセミの世界は多種多様ですが、あの広大な北米大陸にはただ1種類アメリカヤマセミがいるのみです。ただ、アリゾナ州南部のメキシコとの国境近くの池に毎年ミドリヤマセミがやってくるほか、テキサス州南端やフロリダ州南端にクビワヤマセミが春先に見られることもあるそうです。では、生態系豊かな中米南米ではどうでしょうか。南米のほぼ中心にある広大な(日本の本州に匹敵)湿地パンタナルへは2回訪れましたが、パラガイ川上流のさらに支流のジャウル川流域では沢山のオオミドリヤマセミを見ることができました。また、流域の垂直の川岸にたくさんの巣穴があり、一本の木に9羽が羽を休めている姿も観察されました。中米コスタリカに旅行したとき見られたカワセミは5種類で、北米で見たアメリカヤマセミを加えると6種類にすぎません。生態系豊かな中南米にして、こんなにカワセミ類が少ないのには驚きました。これは、地上の小動物類を捕食する鳥類があまりにも多くて、魚を捕ることに特化したカワセミしか生きていけないからでしょう。

第二話 ハチドリの話:

羽毛の微細多層構造による光の分光現象〈回折,干渉,散乱〉を利用して、頭から胸にかけて赤色や黄緑色から青、紫までいろんな色彩に輝く魅力的な小型の鳥、ハチドリを求めて北米南部アリゾナ州をはじめ中米のコスタリカ、南米の赤道直下のエクアドル、ベネゼラのオリノコ川河口近くのトリニダード、リオデジャネイロとサンパウロのほぼ中間の山間部のイタチアイアで探鳥してきました。漠然とした旨味受容体の砂糖に特化した受容体への機能転換という甘未知覚の進化により300種以上にも増加したといわれています( Science22 (2014) 戸田、中北,三坂 東大院農学生命)が、北米には16種、そのうちの幾つかは中米からの渡り鳥です。脂肪を100%燃焼させて渡るそうです。もう一つの特徴は、八の字型の羽ばたきを秒間60〜80回もできるという能力で、空中に完全に静止した状態で花の蜜を吸うことができることです。また、花の形とハチドリの嘴の共進化の結果、湾曲した嘴から異常に長い嘴まで多種多様なハチドリが出現しました。多くの写真で各地のハチドリの華麗な姿、ハチドリの巣ごもりなども見ていただきました。

第三話 死ぬまでに見たい鳥100選 (D. Chandler, D. Couzens著) 2008年にまつわる話:

 現存する世界の鳥約10,000種から、鳥の形態、習性の珍しさ、美しさ、保護状態、生息環境など11の条件で絞られた100種のうち、私が過去25年間に見た鳥20数種とそれにまつわる話を紹介しました. 世界で最も美しいといわれている中米コスタリカのケツアール、またエクアドルのアンデス西側斜面ではアンデスイワドリやキガシラマイコドリとその近縁種を観察。アンデスを超え、アマゾン川の源流の一つナポ川流域のラセルバロッジに泊っての探鳥で原始的な形態のツメバケイを観察した話、近くのヤスニ国立公園内のセイバの大木の頂上に設けられたテラスからソライロカザリドリやナナイロフウキンチョウのメスが観察できたことなどが深く印象に残っています。その他では、ジャングルの樹冠部を飛ぶルリコンゴウインコ、世界最大の鷲であるフィリッピン鷲、南米熱帯雨林に居るオオギワシ、オーストラリアでは大きな東屋をつくりそこで求愛活動をするオオゴンニワシドリ、オーストラリア東部に生息する美しいルリオーストラリアムシクイなどの華麗な集団行動、パプアニューギニアの代表的フウチョウとしてアオフウチョウなど、またアカカザリフウチョウの写真と求愛行動の様子などを話しました。地球温暖化の影響でカナダ北部に生息するシロフクロウが大挙してカナダ南部やアメリカ大陸各地に飛来しているとの情報でバンクーバーを訪れ、多数のシロフクロウを観察できたことなどを紹介しました。最後に、パプアニューギニアに生息するズグロアリモズの羽毛や皮膚から、南米ヤドクガエルから単離されている世界最強の毒バトラコトキシンの同族体のホモバトラコトキシンが見出された話しをして会を終了させていただきました。

第28回世話人:水野一彦、稲葉伸一、勝村成雄  (勝村 記)

ゆうごう会とは

本会シニア世代個人会員を対象にした懇話会で、「少し学び(知る)、知的に(遊ぶ)、それを心でつなぎ(和の心)、誰でも気楽に参加し、楽しめる会」を趣旨とし、会の名称も、有合協と和の精神(融合)を意味する「ゆうごう会」と命名したものです。

お問い合わせ

〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台1-5 化学会館
公益社団法人有機合成化学協会「ゆうごう会」係
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