イベント - 協会本部 - 東北支部 –
第115回有機合成シンポジウム2019年<春>【開催報告】 終了しました
- 日時
- 2019年6月3日(月)~4日(火)【終了】
- 場所
- 東北大学 青葉山コモンズ[交通]詳細はホームページをご参照下さい
- 主催
- 有機合成化学協会
共催 日本化学会、日本薬学会、東北大学、東北大学大学院農学研究科
協賛 日本農芸化学会
開催報告
有機合成化学シンポジウムは、春と秋の2回、平日の2日間にわたって開催され、有機合成化学に関する最先端の研究成果が報告されるとともに、活発な議論が交わされるシンポジウムです。2年前から春のシンポジウムを東京以外で開催することになり、2年前は岡山で、昨年は名古屋で開催されました。3回目の地方開催となる今回の第115回シンポジウムは、東北支部の協力のもと、6月3日(月)、4日(火)に東北大学で、昨年度新設された青葉山コモンズで開催されました。
初夏の爽やかな風が吹き抜ける新緑の美しい青葉山キャンパスで、2日間にわたり熱心な議論・討論が繰り広げられました。今回のシンポジウムでは、昨年同様口頭発表を2種類(発表時間が15分と20分)に分け、より多くの研究成果を発表していただくことができました。全国から213名が参加登録し、企業冠賞受賞講演2演題に加え、口頭発表36件、ポスター発表65件の研究発表が行われました。
一日目
林雄二郎(東北大院理)東北支部長の開会挨拶を皮切りに、シンポジウムがスタートしました。午前中の5件の口頭発表は、初日の午前中にも関わらず非常に活発な質疑・応答がなされました。
続いて、昼食を挟んで前半・後半の番号に分けて、2部制でポスター発表を行いました。どのポスターの前も質問者の人だかりで、熱心な討論が繰り広げられました。ポスター発表後、口頭発表を再開しました。13件の発表と、午前に引き続く活発な討論が19時まで続きました。
ミキサー
1日目の発表終了後、発表者と参加者の交流を目的としたミキサーが開催されました。林雄二郎東北支部長と庄司満(横浜薬大薬)実行委員長の挨拶後、有機合成化学協会会長の諫山滋氏(三井化学(株))から乾杯のご発声をいただき、ミキサーが始まりました。仙台名物の牛タン、宮城の銘酒を用意したミキサーの歓談のひと時は、あっという間に過ぎてしまいました。
二日目
朝9時15分から午後4時まで、18件の口頭発表が行われました。初日同様に、活発な討論が行われ、短い休憩時間にも発表者と質問者が議論をしている様子があちこちに見受けられました。
【2018年度有機合成化学協会・シオノギ・低分子創薬化学賞】
「グアニジンアルカロイド類の全合成」
(東農工大院工)長澤和夫
長澤先生からは、複雑な構造を有するグアニジンアルカロイド類のエレガントな合成および、グアニジン部位を有機触媒とする反応開発に関して、ご自身が本天然物に興味を持った背景から丁寧にご講演いただきました。
【2018年度有機合成化学協会・東ソー・環境エネルギー賞】
「精密錯体触媒を用いる安定カルボン酸誘導体の水素化法の開拓と応用」
(名大物質科学国際研究センター)斎藤進
斎藤先生には、精密に設計された錯体触媒を用いる水素化反応に関する、講演をいただきました。錯体触媒の素晴らしさ、力量を示していただきました。
ポスター発表【優秀ポスター賞受賞者一覧=以下の6名に授与】
本シンポジウムでは、優秀なポスター発表を行った学生会員に対し、「優秀ポスター賞」を授与しています。シンポジウムの最後の閉会式で、以下の6名の学生の方に実行委員長の庄司満先生から賞が授与されました。受賞された皆様は、今後一層研究に邁進していただきたいと思います。
[発表番号順に記載]
- P-7 銅触媒による[1,3]-アルコキシ転位/マイケル付加カスケード反応
(東北大院理) ◯田代大樹、石田恭裕、中村達、寺田眞浩 - P-15 ホスフィノメチル基の置換したNHC-ニッケル錯体を用いたエチレンと二酸化炭素からのアクリル酸塩の触媒的合成
(東工大理) ◯岩井朝希、張錦良、高橋講平、岩澤伸治 - P-28 ハイブリッド触媒系を用いたアリル位C(sp3)-H結合の活性化によるアルデヒドの直接的不斉アリル化反応の開発
(東大院薬、阪大高等共創研究院)三ッ沼治信、〇田辺駿、布施拡、大久保敬、金井求 - P-45 不斉誘起型ラジカル転位環化反応を用いた(−)-Lepadiformine Aの全合成
(東北大院薬)◯下村誠志、佐藤学、坂田樹理、徳山英利 - P-57 有機触媒を用いた軸不斉ビフェニルの新規合成法
(東北大院理)◯滝川彬、越野晴太郎、石田圭一、林雄二郎 - P-60 チェーンウォーキングを経る末端アルケン選択的な長距離異性化反応
(慶大理工)◯菅野翔太、山﨑裕也、熊谷貴明、垣内史敏、河内卓彌
表彰式の後、閉会の挨拶が述べられ、本シンポジウムは盛会のうちに幕を閉じました。
次回の第116回有機合成シンポジウムは、10月31日、11月1日の両日、早稲田大学国際会議場で開催予定です。多くの方々の参加をお持ちしています。
(文責 東北支部長 東北大院理 林 雄二郎)