イベント - 協会本部
2021年度 後期(秋季)有機合成化学講習会プログラム[オンライン開催 11月25日] 終了しました
- 日時
- 2021年11月25日(木)
- 場所
- ZoomおよびoViceによるオンライン形式
- 主催
- 主 催 有機合成化学協会 /共催 日本化学会、日本薬学会 /協賛 日本農芸化学会
テーマ「有機合成化学と関連科学技術の討論を極め、秋雨や寒波を乗り越えよう!」
9:55~10:00
開会のことば:(本会事業委員長/慶應義塾大学薬学部 教授)須貝 威
※敬称略
1. 「ペプチド分解酵素によるアミノ酸同士の結合」(10:00~11:00)
(鳥取大学農学部 教授)有馬 二朗
酵素を人工的な環境下で反応させると、生体内では起こり得ない副反応が度々観察される。ペプチド分解酵素の一つ、セリンペプチダーゼでも、本来の機能である「加水分解」と拮抗して、「アミノリシス」を触媒する。この反応は、酵素反応過程で形成されるアシル酵素中間体に対し、水分子ではない別の分子のアミノ基が求核攻撃し、ペプチド結合が形成される反応である。特にアミノ酸エステルが基質となると,多様なペプチド類が生成物として生じる。本発表では、セリンペプチダーゼによる短いペプチドの合成例を中心に紹介する。
2.「光酸発生剤と先端フォトポリマー材料への応用」(11:10~11:50)
(富士フイルム株式会社 有機合成化学研究所 研究マネージャー)土村 智孝
光により高度に反応を制御し、新たな機能を付与するフォトポリマー材料は、幅広い分野に利用され、先端産業において欠かすことのできない光機能性材料である。光により酸を発生する光酸発生剤(PAG)は、その特性を大きく左右するキー素材の一つである。近年、多様な露光光源の出現や、CTPイメージング、EUVリソグラフィーなど新アプリケーションの登場により、高度で多彩な機能を有するPAGが注目されている。本講習会では、これらのPAGの研究を紹介すると共に、先端フォトポリマー材料へのPAGの応用について述べる。
*昼食休憩(11:50~13:00)
3,「新規探索法による生物活性天然物の開拓:魚釣り法と微生物-動物細胞共培養法」(13:00~14:00)
(慶應義塾大学理工学部 教授)荒井 緑
生物活性天然物はこれまでに多くの医薬になっており、新たな創薬シーズを得るためにも、新しい天然物探索法の開発は重要である。本講演では、それまで例が限られていたタンパク質との結合能を指標とするタンパク質ビーズを用いた天然物探索(魚釣り1)と、化合物ビーズを用いた標的同定(魚釣り2)の概略と実施例を紹介する。また、我々が開発した微生物-動物細胞共培養法による休眠遺伝子活性化と天然物単離の進捗についてもお話しさせて頂きたい。
4.「メカノケミカル有機合成の展開と使い方」(14:10~15:10)
(北海道大学大学院工学研究院 教授)伊藤 肇
有機合成は反応基質を溶媒に溶かすことを前提としているが、我々は三年ほど前から、固体基質を、溶媒をほとんど用いずにボールミルでそのまま反応させる方法の開発の研究を行ってきた。その結果、溶液系では不可能な選択性や高い反応性を見出すことに成功した。本講演では最新の成果とともに、メカノケミカル有機合成の可能性を考える。
5.「C(sp3)-H結合の直接官能基化と位置選択性の制御:極性支配ラジカル反応による革新」(15:20~16:20)
(大阪府立大学 特認教授・台湾国立陽明交通大学 講座教授)柳 日馨
C(sp3))-H結合の直接官能基化は後期段階官能基化法の重要性がとみに認識されている現代有機合成化学において解決すべき課題の一つである。もちろん有機化合物には小分子を除けば複数のC-H結合が存在することから位置選択的な変換法が求められる。この講演ではラジカル種による水素引き抜き反応の位置選択性に挑戦した演者らの最近の研究成果について議論したい。
グループディスカッションおよび交流会(16:30-17:30)
仮想ミキサー会場oVice内で、ミーティングアイコン5カ所に、演者の先生5名にそれぞれ立っていただきます。参加者の方は自由に仮想会場内を歩き回り、演者の先生方を囲んで質問討論、またバーチャルに距離が近づいた参加者同士は、どこでも会話可能です。複数名の本会事業委員がファシリテータとして入ります。17:00の時点で、参加者の皆様に、席替えをコールいたします。